■ 症例プロフィール
- 年齢・性別:13歳 雌
- 犬猫種:日本猫
- 主な症状:左の頬(ほお)の腫れ、歯根からの排膿(うみ)
■ 治療の経緯と経過
- 過去の経過(2025年9月・2026年5月) 歯根膿瘍(しこんのうよう)により左頬が腫れ、その都度、抗生剤の投与と消毒処置で一時的には改善していました。
- 根本治療(抜歯)への決断 今後も再発を繰り返す可能性が高いこと、また抗生剤の多用による「薬剤耐性菌(薬が効かなくなるリスク)」を防ぐため、原因となっている歯の抜歯手術を行うこととなりました。
- 安全性を考慮した手術管理 事前の麻酔前検査で軽度の腎不全が見つかったため、安全を最優先に考慮。手術前日から術後翌日まで入院し、十分な輸液管理(点滴)を行いながら、全身麻酔下での抜歯および歯のクリーニングを実施しました。
- 術後の経過 全身麻酔中も状態は安定しており、術後も腎不全を悪化させることなく、無事に治療を終えることができました。

■ 【安心のための取り組み】当院の抜歯手術の流れ
当院では、見た目だけでは分からない歯の裏側までしっかり確認し、痛みに配慮した精密な手術を行っています。
- Step 1:歯科レントゲン検査 まず歯科レントゲンを撮影し、歯の吸収病変や歯根の状態を詳しく確認して、抜歯が必要な歯を的確に見極めます。
- Step 2:丁寧な抜歯処置 歯ぐきを丁寧に開いて歯と歯根を露出させ、歯の構造や状態に合わせて必要に応じて分割しながら、安全に抜歯を行います。
- Step 3:抜歯後の洗浄・処置 抜歯した後の穴(歯槽窩)をきれいに洗浄し、感染や炎症の原因となる組織を徹底的に取り除きます。
- Step 4:歯ぐきの縫合(傷口の保護) 最後に歯ぐきを移動させて抜歯した部分をしっかり覆い、自然に溶けてなくなる「吸収糸」で縫合します。これにより傷の治りが早まり、術後の痛みや食べ物の詰まりを大幅に軽減できます。

■ 獣医師からのアドバイス:放置すると内臓疾患のリスクにも
奥歯の痛みや炎症を繰り返している場合、愛猫・愛犬の今後の苦痛を減らすためにも根本的な歯科治療が推奨されます。
⚠️ 歯周病が引き起こす全身へのリスク 慢性的な歯周病は、お口の痛みやトラブルだけでなく、心臓病や腎臓病などの重篤な内臓疾患のリスクを高めることが分かっています。
当院では、ワンちゃん・ネコちゃんが長く健康に暮らせるよう、歯科治療に力を入れています。
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