秋の味覚に注意!犬猫が食べてはいけない食べ物誤食したらどうする?

秋になると、ぶどうや柿、栗、きのこなど、おいしい食べ物が増えてきます。人にとっては秋の味覚でも、犬や猫にとっては注意が必要な食べ物もあります。特に気をつけたいのが、飼い主さんの目を離したすきに食べてしまう「誤食」です。「少ししか食べていないから大丈夫?」「誤食した後に嘔吐したけれど、吐き出したから大丈夫?」と迷う方も多いのではないでしょうか。今回は獣医師の立場から、秋に注意したい食べ物と、犬猫が誤食したときの対応について解説します。

秋の味覚には要注意!犬猫が食べてはいけないもの

秋は食卓に果物や木の実などが並ぶ機会が増えます。犬や猫は人間が食べているものに興味を示すことがありますが、「人が食べられるもの=犬猫も安全」とは限りません。

ぶどう・レーズン

犬の誤食で特に注意したいのがぶどうとレーズンです。犬では、ぶどうやレーズンを食べた後に急性腎障害を起こすことがあります。食べた量と症状には個体差があり、「○粒までなら安全」と一律に判断することはできません。

初めは何も症状がなくても、時間が経ってから嘔吐、食欲低下、元気消失、下痢、水を飲む量や尿量の変化などが見られることがあります。重症化すると腎臓の機能が低下することもあるため、犬がぶどうやレーズンを食べた場合は、症状がなくても早めに動物病院へ相談しましょう。

ぶどうは「1粒だけだから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。食べた量が分からない場合も、分かる範囲で動物病院に伝えてください。

栗

栗の果肉そのものは、ぶどうのような代表的な中毒食材ではありません。しかし、硬い殻や渋皮、丸ごとの栗を飲み込んでしまうことには注意が必要です。喉に詰まらせたり、消化管内で異物となったりする可能性があります。

また、モンブランなどの栗を使ったお菓子には、砂糖や乳製品などのほか、商品によってはチョコレートや洋酒などが含まれている場合があります。「栗を食べた」と思っていても、実際には栗を使った人間用のお菓子を食べていたというケースもあるため、原材料まで確認しましょう。

柿

柿の果肉を少量食べたこと自体が、ぶどうのような中毒を起こすわけではありません。しかし、柿の種は誤食に注意が必要です。種を丸ごと飲み込むと、消化管に詰まる可能性があります。

また、柿をたくさん食べれば胃腸に負担がかかり、嘔吐や下痢などにつながることもあります。犬猫に人間用の果物を与える場合は、種や皮などを取り除き、量にも注意しましょう。

きのこ

秋はきのこ狩りの季節でもありますが、野外で採取したきのこを犬や猫が食べてしまった場合は要注意です。毒きのこは種類の判別が難しく、種類によっては消化器症状だけでなく、神経症状や臓器障害などを起こす可能性があります。

「少しだけ」「いつも食べているきのこに似ているから」と判断せず、種類が分からないきのこを食べた場合は、早めに動物病院へ相談してください。

玉ねぎ・にんにくなどのネギ類

秋は鍋料理や煮込み料理なども増えます。ここで注意したいのが、玉ねぎ、長ねぎ、にんにく、ニラなどのネギ類です。犬や猫が摂取すると、赤血球が壊されて貧血を起こすことがあります。特に猫は影響を受けやすいため注意が必要です。

生の玉ねぎだけでなく、加熱したものや料理に溶け込んだものも問題になることがあります。玉ねぎ入りのハンバーグやスープ、煮込み料理などを食べてしまった場合も、自己判断せず相談しましょう。

犬猫が誤食したらどうする?まず確認したい5つのこと

犬猫が食べてはいけないものを誤食したときは、「何を・どれくらい・いつ食べたのか」が非常に重要です。動物病院へ連絡する前に、分かる範囲で次の情報を確認しましょう。

  1. 何を食べたか:食品名や商品名、原材料を確認する
  2. どれくらい食べたか:1粒、半分、○gなど、できるだけ具体的にする
  3. いつ食べたか:食べてから何分・何時間経っているか確認する
  4. 体重は何kgか:同じ量でも体格によって影響が変わる
  5. 症状があるか:嘔吐、下痢、元気消失、ふらつきなどを確認する

食べた食品のパッケージや残っている食材があれば、捨てずに保管しておきましょう。商品名や原材料が分かると、獣医師が判断する際の重要な情報になります。

「食べた量」が分からない場合は?

実際の診療では、「食べているところを見ていない」「袋が破れていて、どれくらい食べたか分からない」というケースも珍しくありません。

食べた量が分からなくても、動物病院に相談することはできます。食べる前の量と現在残っている量から推測したり、なくなっている個数を確認したりしましょう。「分からないから様子を見る」のではなく、分からないことも含めて獣医師に伝えることが大切です。

誤食した後に嘔吐したら?「吐いたから大丈夫」は危険

誤食した後に嘔吐すると、「全部吐き出したから大丈夫」と考えてしまうかもしれません。しかし、誤食後に嘔吐したからといって、食べたものがすべて体外へ出たとは限りません。

すでに一部が胃から腸へ移動している可能性や、体内に吸収されている可能性があります。また、嘔吐そのものが中毒や消化管の異常によって起こっている場合もあります。

特に、何度も吐く、ぐったりする、食欲がない、下痢をする、よだれが多い、ふらつく、震える、けいれんする、呼吸がおかしいなどの症状がある場合は、早急な診察が必要です。

誤食後の嘔吐は「吐いたから安心」ではありません。何を食べたのか、食べた量、食べてからの時間を確認し、動物病院へ相談してください。

自宅で無理に吐かせないでください

インターネットでは、塩水などを飲ませて吐かせる方法が紹介されていることがあります。しかし、自宅で自己判断による催吐処置を行うのは危険です。

食べたものによっては、吐かせることで食道を傷つけたり、吐いたものを気管に吸い込んで誤嚥性肺炎を起こしたりする可能性があります。吐かせる必要があるかどうかは、食べた物、量、時間、犬猫の状態などを考慮して獣医師が判断します。

誤食したとき、動物病院では何をする?

誤食の治療は、食べたものや食べてからの時間によって異なります。必要に応じて、獣医師が状態を確認したうえで催吐処置を検討したり、点滴や活性炭などの治療を行ったりします。

また、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行い、中毒による臓器への影響や、種・殻・包装などの異物が消化管に詰まっていないかを確認することもあります。

誤食の種類によっては、症状が出てからではなく、症状が出る前の早い段階で処置を行うことが重要な場合があります。「今は元気だから」と待つのではなく、危険なものを食べた可能性がある時点で相談することが大切です。

秋の誤食を防ぐためにできること

  • ぶどうやレーズンをペットの届かない場所に保管する
  • 栗や柿の種、果物の皮などを床に落とさない
  • 料理やお菓子をテーブルに置いたままにしない
  • ゴミ箱はフタ付きのものを使用する
  • バーベキューや行楽では食材をペットから離して管理する
  • 家族全員で「食べさせてはいけないもの」を共有する

犬や猫は、飼い主さんが思っている以上に食べ物を探して口にすることがあります。「少しの間なら大丈夫」と油断せず、食べ物はペットの届かない場所で管理しましょう。

よくある質問|犬猫の誤食・嘔吐について

Q. 犬がぶどうを1粒食べただけでも病院に行ったほうがいい?

A. ぶどうは少量でも腎障害を起こす可能性があるため、「1粒だから大丈夫」と自己判断することはおすすめできません。食べた量や体重、食べてからの時間を確認して、早めに動物病院へ相談してください。

Q. 誤食した後に嘔吐しました。全部吐き出したと考えていい?

A. いいえ。吐いたからといって、食べたものがすべて排出されたとは限りません。誤食後の嘔吐は中毒や消化管の異常による症状の可能性もあるため、何を食べたのかを確認して動物病院へ相談しましょう。

Q. 誤食したら家で吐かせてもいい?

A. 自己判断で吐かせるのは危険です。塩などを使った催吐は行わず、まず動物病院へ連絡してください。食べたものによっては、吐かせること自体が危険な場合もあります。

Q. 食べた量が分からない場合はどうすればいい?

A. 食べた量が分からなくても相談できます。食べた可能性のある食品やパッケージを確認し、「何を」「いつ頃」「どのくらい食べた可能性があるか」を分かる範囲で伝えてください。

Q. 誤食したけれど、今は元気です。様子を見ても大丈夫?

A. 食べ物によっては、症状が出るまで時間がかかることがあります。特に中毒性のあるものでは、症状がない段階での相談が重要になる場合があります。危険なものを食べた可能性がある場合は、元気であっても動物病院へ相談しましょう。


この記事のまとめ

  • 秋はぶどう・レーズン、栗、柿、きのこなどの誤食に注意しましょう。
  • 誤食したら「何を・どれくらい・いつ食べたか」を確認し、分かる範囲で獣医師に伝えましょう。
  • 誤食後に嘔吐しても「全部吐いたから大丈夫」とは限りません。自宅で無理に吐かせず、早めに動物病院へ相談しましょう。

誤食してしまったときは?

“様子見”の前に、まずはお気軽にご相談ください。食べた物・量・時間が分かると、よりスムーズに対応できます。

監修した獣医師
Veterinarian / 院長
獣医師 濱根雅人

犬・猫の診療を行い、地域のかかりつけ医として日々の健康管理や病気の予防、誤食などの救急相談にも対応しています。

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