【症例】11歳 去勢雄 チワワ
【主訴】元気食欲がなくなって嘔吐しているという主訴で来院しました。
【検査】血液検査、レントゲン検査、エコー検査を実施したところ、下腹部に大きな腫瘤があり、脾臓にも一部しこりが見られ、それぞれ周囲でモヤがかった液体が溜まっているため、腫瘍の破裂による腹腔内出血を起こしていると判断しました。

下腹部に認められた腫瘤

腫瘤と膀胱の周囲に認められる液体貯留。出血が疑われる。
【手術】このままでは出血死する可能性があるため、緊急の開腹手術を実施しました。
開腹すると、腹腔内で血液が溜まっており、出血部位を探したところ、大網に付着する巨大な腫瘤が見つかり、その表面から出血を起こしていました。
止血をしながら慎重に摘出を行いました。
その後、上腹部でも出血が見られたため、出血部位を探したところ、脾臓の一部に腫瘤ができていて、腫瘤の中心部から出血を起こしていました。
脾臓を摘出し、腹腔内で出血がないことを確認し、腹部を洗浄後に閉腹し、手術を終えました。

摘出した大網由来の腫瘍。表面から出血が認められた。

摘出した脾臓。1cm大の腫瘤があり、表面から出血が認められた。
【術後の経過】
症例は術後徐々に体調も回復し、食事を食べるようになり、無事退院しました。
術後の摘出した臓器の病理検査では、大網由来の腫瘍は血管肉腫という、悪性度の高い腫瘍と診断されました。脾臓に関しては過形成という結果で良性の病変でした。
手術で無事、出血を起こした臓器は摘出しましたが、悪性腫瘍のため、今後の腫瘍の再発や転移に十分な注意が必要です。
今後飼い主様と相談の上で、抗癌剤による治療を行っていくか、または緩和治療を行なっていくのかを決め、治療を実施して行きます。
【総括】
今回の症例のように一見健康に見えても、急な体調不良を起こし、検査の結果、緊急の手術が必要なケースがあります。
今回の症例は比較的発見が早く、一命をとりとめることができましたが、数日発見が遅いと亡くなってしまう可能性が高いケースでした。
特に高齢期になると半年や1年であっても体の中では大きな変化が起こっている可能性があります。
病気を早期に発見するため、定期的な健康診断の実施をお勧めします。
当院では、血液検査からレントゲン検査、エコー検査などの全身検査まで、随時受付しております。
何かご不安な点や気になることがあればいつでもご相談下さい。
